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自ら考え、判断し、行動できる人を育てる
小出 薫
Koide Kaoru
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色々な人と協力し、新しい世界を創りたい
越後天然ガスが本拠を置く新潟県の出身です。同業社を経て2008年に当社に入り、2012年に代表取締役社長に就任しました。当社は新潟市秋葉区、江南区および五泉市の約3万6000世帯に都市ガスを供給しています。 当社の強みは安さと技術力にあります。社名にも含まれるとおり、新潟県は(国内)天然ガスの70%を産出しているので、「地の利」を生かして安価に提供できるのです。海外品の場合、一旦液化して輸入し、再び気化するためのコストがかかるため割高になります。また、配管には錆びにくい素材を使っているため、さらにコストを下げることができるのです。
当社には「安全・安定・安価」という社是があります。単純ですが奥深い、この目標を実現することが会社を率いていく者の務めであると考えています。しかし、ここ数年の間に、電力や都市ガスの完全自由化が制定され、ガス事業の在り方を根本から見直す時代を迎えています。それだけに、古い慣習にとらわれず、新しいことに積極的に挑む文化が求められているとも感じています。 こうした「変わる時代」に経営を委ねられている立場として大切にしているのは、お客様のニーズをつかみ、「自ら考え、判断し、行動に移していくこと」と「その手法を次世代に伝えていくこと」です。端的に言って、昔は二番手として他社の成功事例を真似ればよかった。高度経済成長期のやり方です。
しかし、今はそんなやり方がまったく通用しません。他社の二番煎じではどんどん時代に取り残されてしまうからです。把握したニーズを踏まえたモノづくりやサービス提供を、トップランナーとして率いていかなければならなくなったのです。 トップランナーの醍醐味は、新たな価値観やニーズを他社や時代に先がけて提案できることです。言い換えれば、これまでのニーズは事業者が創り出してきました。しかし、これからは本当にお客様が求めるモノやサービスを、人の心の中まで深掘りして考え、マーケティングしていかねばなりません。 そのためにはさまざまな人に会い、日々のニュースに網を張り、まさに今必要とされるニーズをつかみ取る。表層だけでなく深いところにまで迫ることが大切だと思います。
若い社員には、自らの経験を踏まえて「仕事は失敗を恐れず、楽しめ」と事あるごとに言っています。厳しい局面や状況も、むしろ楽しめ、と。「嫌だ嫌だ」で終わる人生はつまらないからです。振り返ると、私自身、新入社員の頃に上司に言われた言葉の真意が分かるまでに10年かかりました。まずは臆せず、果敢に挑む心掛けが肝心だということです。 そういう若い人からも一目置かれる「上質な大人」とは、「人に与えることができる人」だと思います。例えば、バブル時代には、人からもらったり、ギブ&テイクしたりといったことが評価されていた面があります。しかし、今は与える人のほうが信頼を勝ち得ます。勉強も努力もせずに、ただ欲しがるだけの人は容赦なくさっさと切られる時代です。 無論、金銭的なことばかりでなく、相談事や悩み事にも分け隔てなく手助けする。求められたら与えられる余裕のある人が、誰からも信頼される上質な大人だと思います。
私の考える「上質な生き方」とは、公私を問わず、色々な人と協力し、新しい世界を創っていくことです。そのためには、win-winの関係になれる人脈を増やすことです。大切なのは自分だけを高めるのではなく、互いに高め合うという心掛け。そうでないとビジネスはうまく進みません。 この際の人脈とはもちろん、単なる知り合いという意味合いではなく、腹を割って意見や情報の交換ができる人を指します。尊敬に値する、あるいは目標としたい人たちに共通するのは、表面的な部分でなく、非常に深いところまで考えているということです。 ですから、私自身「聞かれたことには間髪入れず即答する」ことを心掛けています。分からないことは分からないと言い、分かることは誠実に本質を伝えます。相手によっては返答次第でがらりと態度が変わります。即答するためには常に頭を働かせ、考える習慣を作ること。ですから、ニュースも漫然と聞くのでなく、その本質を心理面まで深掘りして聴くようにしています。 ご存じのように、2030年~50年に向けて、再生可能エネルギーの最大化を推進する国策があります。インフラに携わる当社にとって最も大きな問題であるだけに、今後とも経営の安定と社員の幸福実現を目指して上質な生き方を実践したいと願っています。
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